[南北朝(386〜589)]
⇒北朝（北魏,東魏,西魏,北斉,北周）,南朝（宋,斉,梁,陳）,突厥,高昌
[陳(557〜589)]
武帝（陳覇先）−文帝（陳蒨）−廃帝（陳伯宗）−宣帝（陳頊）−後主（陳叔宝）
陳覇先(503〜559)
　　陳の武帝，高祖⇒。
僧真諦(499〜569)
　　波羅末陀。西インドの優禅尼国の人。梁の武帝に招致されて出国し、中大同元年(546)には南海郡にいたり、太清二年(548)には建康にいたった。侯景の乱を避けて、華北の各地を流浪しながら訳経に従事した。三度帰国を志したが果たせなかった。光大二年(568)には世を厭って自殺を図ったが、弟子に止められて失敗した。翌年に病没した。摂論宗の開祖とされる。六十四部二百七十八巻の訳経を行い、とくに『金光明経』『摂大乗論』『唯識論』は重要とされる。
陰鏗(？〜？)
　　字は子堅。武威郡姑臧の人。はじめ梁の湘東王の法曹参軍となった。陳の天嘉年間に、始興王の中録事参軍となり、のちに晋陵太守・員外散騎常侍に上った。詩人として何遜と並び称された。『陰常侍詩集』。
僧慧思(515〜577)
　　俗姓は李。南豫州武津の人。十五歳のとき、出家して法華と禅を学んだ。光大二年(568)、南岳に入り、陳の宣帝（陳頊）より大禅師の称号をえた。天台宗の第二祖とされる。『立誓愿文』、『法華経安楽行義』。
呉明徹(512〜578)
　　字は通昭。秦郡の人。はじめ梁の東宮直後をつとめた。陳の太建四年(572)、侍中に上った。翌年、十余万の軍を率いて北伐し、秦郡・寿春を陥し、北斉の将軍の王琳を捕殺し、淮南の地をことごとく手中とした。功績により、車騎大将軍・豫州刺史となった。七年(575)、北斉の軍を呂梁において大いに破った。そのため司空に上った。九年(577)、北周が北斉を滅ぼすと、徐・兗の二州を北周と争った。翌年、北周の将軍・王軌に捕らえられ、長安で没した。
顧野王(519〜581)
　　字は希馮。呉郡呉県の人。顧烜の子。幼いころから学問を好み、五経を読み、文を作った。父に従って建安へ行き、『建安地記』を撰した。経史や天文地理や占卜に通じた。大同四年(538)、梁の太学博士となった。のちに宣城王のもとで賓客となり、王褒とともに二絶と称された。侯景の乱が起こると、郷党を集めて義軍を率いたが、都が陥落すると会稽に逃れ、東陽に遷った。陳が起こると国子博士となり、のちに知梁史事・東宮通事舎人を兼ねた。黄門侍郎・光禄卿・知五礼事にまで上った。『玉篇』、『輿地志』。
徐陵(507〜583)
　　字は孝穆。東海郡郯県の人。徐擒の子。梁の簡文帝に仕えて尚書左丞に上った。陳に入って、文帝のときに御史中丞に任ぜられ、のちに吏部尚書・国子祭酒などをつとめた。宣帝の太建四年(572)、尚書左僕射となった。翌年、北伐して北斉を攻めたとき、淮南の数十州を攻略した。後主のとき、左光禄大夫・太子少傅に上った。文章にすぐれ、庾信と並び称された。老荘や仏教に通じ、また艶麗な詩を残した。『玉台新詠』。
施文慶(？〜589)
　　呉興郡烏程の人。陳の宣帝のとき、皇太子陳叔宝に仕えて抜擢され、主書となった。陳叔宝が即位すると、中書舎人に進み、沈客卿とともに枢機に参与した。隋軍の南下を食い止めることができず、建康が陥落し、陳が滅ぶと殺された。
江総(519〜594)
　　字は総持。済陽郡考城の人。十八歳のとき、梁の武陵王の法曹参軍をつとめた。梁に仕えて尚書僕射に上ったが、侯景の乱が起こると会稽に避難し、流泊の生活を送った。陳の天嘉四年(563)、文帝に中書侍郎として登用された。後主の代に尚書令に上った。後主にその詩才を愛されて、日夜宮廷で宴楽し、「狎客」（たいこもち）と称された。陳の滅亡後、隋に仕えて上開府の官を与えられた。江都で没した。『江令君集』。
洗夫人(512？〜602？)
　　高涼郡の人。俚族の出身。首長の家柄に生まれた。梁の大同初年、高涼太守の馮宝にとついだ。梁末、高州の李遷仕の乱を平定した。陳が建つと、子の馮僕を派遣して丹陽に朝見させた。太建二年(570)、広州刺史欧陽紇がそむくと、兵を発して境ではばみ、諸首長を率いて車騎将軍章昭達を迎えた。欧陽紇が敗れると、功により石龍太夫人に封ぜられた。陳が滅ぶと、嶺南の人々に聖母とたてまつられた。隋軍とともに番禺の王仲宣を破り、隋使の裴矩を迎えて帰順した。文帝（楊堅）により譙国夫人に冊された。仁寿初年に没した。
陳叔宝(553〜604)
陳の後主⇒。
蕭摩訶(532〜604)
　　字は元胤。蘭陵の人。蕭諒の子。幼いころ父と死別し、蔡路養に養われた。侯景の乱が起こると、養父とともに出陣して、緒戦で十人余の敵を討ち取った。侯安都の下で軍人となり、鍾山で北斉と戦ったとき、安都に「卿の驍勇は有名なれど、千聞は一見に如かず」と言わしめた。巴山太守に上り、呉明徹の下で北伐に従い、明毅将軍の称号をえた。その後も呉明徹の下で転戦し、武毅将軍・右衛将軍と累進した。また晋煕太守・譙州刺史を歴任した。呉明徹が没すると、陳の軍事の第一人者となり、たびたび北伐したが、功なくして軍を還した。後主のとき、始興王の乱を鎮定して、散騎常侍・車騎大将軍となり、次いで驃騎大将軍・左光禄大夫にまで上った。隋の南下に抗したが、空しくも隋の将軍・賀若弼に捕らわれた。陳が滅亡すると、開府儀同三司の位を受け、隋に仕えた。漢王・楊諒が叛乱を起こしたのに従ったため、楊素の軍に捕らわれ、処刑された。