みんなを信じて、かわる私    

 
  「 パソコンやらない? 今度の土曜日だけど、ぜひ参加して!」と、社会福祉協議会の方に誘われて、 ワープロもパソコンも見たこともない私が、参加してよいものかなぁ? 何が出来るんだろう?(でも、せっかく声を掛けてもらったんだ。体験させても らおうと思い)

当日、市民会館に行くとバスが来ていて バスの中でパソコンの操作を習うらしいと聞き、障害のある私はとてもバスには乗れないので 会館に設置されたパソコンでスイッチの入れ方からマウスと言う操作器具にも初めて触れ 何もわからずドキドキでした。


  しかし、パソコン指導の皆さんボランティアで  盲導犬に逢えたのが最もうれしかったという変な感想です。
初めて盲導犬に会い、犬の大好きな私は 触わりたいの だけど… 今 盲導犬として仕事中なのだからいけないのだろうという気迫は、 やはりほかの犬とは 違っていました。


 二ヶ月後、前回は私の障害の程度がわからないので、どう助けたらいいのかわからなかったボランティアの方々も、「今度はぜひ、情報研修バスに乗せてあげたい。二時間のスケジュールもとってあるから。」と、体格のよい私をおぶってバスに乗せてい ただきました。

バスの中は 十台ほどのノート型パソコンが、インターネットと通じていて マウスを使って イラストの絵を取り込んで自分で消したり書いたりの『楽しいお絵書き』 をプリンターで印刷してもらい、インターネットで知りたい情報を探し出す方法が課題でしたが、私にも出来、インターネットの不思議を感じました。


  今度は松江の『くにびきメッセ』で、「障害者と情報通信について考える集い」に誘いを受け、(私は母の介添えがあって、やっと外出ができ、転んだら最後 足の力も ないため、立ち上がることも出来ません。車椅子で 二人に両脇をしっかりと持ち上げてもらってやっと立てる状態です)

 参加したいけど、まだ『くにびきメッセ』にも行ったことないので 駐車場やスロープ・トイレ等、いろいろ心配でした。初めに 声を掛けてくれた 社協の彼女たちと行くのだから それでも任せようと思いました。
(数年前の私だったら、行かれないと断っていたと思います。進行性筋ジストロフィーで、年々筋肉は衰えていくけれど幸い、歳をとったせいか 少しずつ自分の堅い殻から考えを変えて 気持ちは生きやすく感じるようになりつつあるかな?)
親切なことに前日にも 社協の方が「私の車が 乗りやすいかも。」と試乗にまで来て下さり、会場に行くと 大田で逢ったパソコンのボランティアグループの方々がやさしい笑顔で声を掛けて下さいました。

                                                             

 講演には 大阪から自身も重度心身障害の娘さんをかかえ、それを縁に始まったボランティア活動で パソコンを利用して障害者でも就労が可能でベットからでも『納税者を目標にガンバロウ!』という夢のような、元気の出る話を聞き 会話が困難な障害者でも残っている能力を生かして たとえ目の動きだけでも コミュケーションが はかれるよう考えている人が、島根県でもいると知り 涙が出るほどありがたく 会場にも多くの障害者が熱心に集まり 本当に行ってよかったと思い、パソコンの扉を開けば世界が広がり バリアフリーでどこにもいける 本当に障害者の味方にな ると確信し 私もやってみようと決めました。



  一大決心しても 本当に何もわからないので どうしょう状態は続くと思われた…のに、時期をおかず幸い, 外国にいる兄が夏休みで帰った時に忙しい中、パソコ ンを買い、セッテングまでしてくれ  やるっきゃない状態のトントン拍子になり、初めは小四の甥っ子に横にいて教えてもらうことから始まり…  私がパソコンをやれば教えてあげたいという人のメールアドレスをもらっていたので、兄がその方にメールを 送ると さっそく家にまで来て連日のように熱心に指導して下さいました。

悪戦・苦闘は続き…・コンピューターの説明の単語からわからないし、聞きなれない言葉ばか りで 一度できたとしても 二歩前進・三歩後退がしばしば…・。



でも絶対あきらめてはいけない。自分に負ける。病気に負ける…・ 不自由な体であればこそ、負けずに自分のものにして ハガキ一つポストに入れて出すことが出来ない私なのだから やっと動く指一本でキーボードをたたき時間がかかっても 便利な 魔法のパソコンを使って 希望を捨てずに生きていこう。

悩みを抱えた時 相談に のってくれる人々が きっとパソコンの向こうにいてくれると信じて。
私の病気は憎いけど、自分の気持ちをかえたら どれほどの心からやさしい人に巡り合えただろう。
(健康であれば これほどの心の複雑なひだを考えることなく 過ごしたのだと思う) その人達に対しても 私が出来ることはガンバロウ!


しかし、今のままでは勇気をもって外出しても疲れることが多い。
快適な環境 (駐車場・スロープ・エレベーター・障害者用トイレ等あれば自立が可能になる。《健常者 にとって、道やトイレがないのと同じですよ。耐えられます? どうか一日でも早く整備して!現状が情けないです》)
であれば、障害者もずっと疲労が少なくてすむのに 常に心は揺れ動き 弱い者ほど繊細で壊れやすい。

過保護とは言いませんが やさしく見守って、どうか世の中 余裕をもっていたわりのある社会になってほし い。そのためには、障害者も人に甘えてばかりいず 障害を理解してもらえるよう機会があれば外出して 理解を深めてもらえたらと願う。(最後は愚痴になりましたね)
愚痴は言いたくないから、とかく黙って じっと待つことが習慣になっていた 私ですが、多くのみなさんは 障害者にどう手を差し伸べ、どう接してよいかわからないだけで、助ける気持ちを持っている人が沢山おられると信じます。 私は勇気を持って行動することを ここに誓おう!どうか困っている時は 助けて下さい。お願いします。
    
                           98年9月 『心の輪を広げる体験作文』に応募 98年9月                         

☆作文で書いた「パソコンのボランティアグループ」とは・・・・・・島根県の「ぎんぎんネット」のことで、
私も、98年9月より メールング リストに入れて頂き、毎日メールを見る事で すごく勉強になっている