室 思 | |
浮雲何洋洋
願因通我詞 飄飄不可寄 徙倚徒相思 人離皆復會 君獨無返期 自君之出矣 明鏡暗不治 思君如流水 何有窮已時 |
浮雲何ぞ洋洋たる
願わくは因りて我が詞を通ぜん 飄飄として寄すべからず 徙倚して徒らに相思う 人離るれば皆復た会う 君独り返るの期なし 君の出でしより 明鏡暗くして治めず 君を思えば流水の如く 何ぞ窮まり已む時あらん |
---- [解釈] 空の浮き雲は何と寄るべのないことか できるならここでわたしと言葉を交わしておくれ しかし雲はひょうひょうとしてひとところにとどまらない わたしはうろつきまわってむだに思いわずらうばかり 人は離れてもまた会うのが常なのに あなたひとりは帰ってくるときがない あなたが出ていってからは 鏡も暗くくもったまま磨かれていない あなたを思うと流れる水のように どうして行きついた終わりの時があるだろうか | |
---- [解説] 夫を思う妻の情を歌った詩とされています。 | |
---- [参考文献]松枝茂夫編『中国名詩選上』(岩波文庫) 吉川幸次郎『三国志実録』(ちくま学芸文庫) |